箱根十七湯
〜箱根が持つ天与の恵み〜

⑭芦之湯
~文人墨客に愛された風雅の湯~

芦之湯温泉は、駒ヶ岳の麓に開けた閑静な温泉地です。箱根旧街道(現国道1号)沿いで歴史的な面影を色濃く残し、旧跡も数多く点在しています。その一つ「阿字ヶ池」は、寛文2年(1662)に勝間田清左衛門が湿原を開拓して温泉の基礎を築いた跡です。それ以来、江戸時代を通じて長逗留の湯治客や文人墨客で賑わいました。『七湯枝折』では、「ここの湯は五味(多種)で、箱根の温泉の中でも主(最高)」という意味の賛辞が送られています。文人たちは温泉で英気を養うとともに、この地にあった熊野権現の「東光庵薬師堂」に集って句会や作歌を楽しみました。そのうちの一句-
芦の温泉の石に精あり秋の風 蕪村
現在、芦之湯温泉の旅館は2軒ですが、いずれもかつて「五味」と賛えられた複数の泉質を保有しています。「きのくにや」は成分の異なる5本の源泉、「松坂屋本店」には七色に変わる湯量豊かな源泉があります。



史跡「東光庵」

文人たちに愛された東光庵は明治4年(1871)に火事で焼失し、熊野神社境内には句碑や歌碑などが残るだけでした。それが史跡「東光庵」として復元されたのは、平成13年(2001)秋のことです。江戸時代そのままの建築方式が採用され、茅葺き屋根には「わび」「さび」の趣が漂います。史跡東光庵の庵主は中曽根康弘元総理大臣で、復元プロジェクトに先立つ「芦刈まつり」(10月中旬)にも学会や地元の有志と共に力を尽くしました。芦之湯を舞台にして、江戸時代から現代まで文化人の心が一つにつながったのです。史跡東光庵は一般にも公開され、俳句の会や茶会などにも利用することができます。

精進ヶ池と箱根石仏群

硫黄分が多く、殺生の対象となる魚が棲まないことから鎌倉時代に地蔵信仰霊地となった精進ヶ池の周辺には、西の臼杵(宮城県)、東の箱根と称される石仏石塔群が点在し、国の重要文化財に指定されている。曽我兄弟と虎御前にまつわる五輪塔、多田満仲の宝筐印塔、3mに及ぶ磨崖仏六道地蔵、巨岩に刻まれた二十五菩薩などが有名。

国民保養温泉地

2015年(平成27年)に神奈川県第一号の国民保養温泉地として環境大臣より指定を受けました。 芦之湯温泉は古くから湯治場として栄えてきた温泉地であり、豊かな自然環境と歴史的・文化的資産が遺され、閑静な環境が保てれています。



温泉の特徴

泉質 単純温泉、単純硫黄温泉(硫化水素型)、含硫黄─カルシウム─硫酸塩泉(硫化水素型)、カルシウム─硫酸塩泉(石膏泉)など
源泉総数 4
泉温 26〜84℃ 
湧出量 319ℓ/min



アクセス

箱根湯本から元箱根・箱根町行きバスで「東芦の湯」「芦ノ湯温泉入口」ほか下車



芦之湯の温泉施設

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