箱根の見どころ
大涌谷
富士箱根伊豆国立公園
緑豊かな箱根の中で、他とはまるで様相が違う大涌谷。赤茶けた地肌、立ち枯れた木々……、あたり一面の硫黄の臭い。荒涼とした風景が広がります。しかしこれもまた生きている地球の姿。地球の息吹をそのまま感じてください。
大涌谷は、およそ3,000年前の噴火によって神山(標高1,438m)が崩壊してできました。
現在もあちこちから硫化水素を含む噴煙が上がっています。そのため、樹木は立ち枯れ、岩石は粘土化して赤茶けた山肌が見えています。沸き立つ湯釜、白煙を吹き上げる噴気孔など、火山のダイナミックな活動の様子を観察できます。
硫気荒原と呼ばれる噴煙地の周辺には、高い地温や、酸性土壌に強い植物が生息しています。噴煙地に近いほど酸性に強い植物が見られるのも大涌谷の特徴です。(コアジサイ、ノリウツギ、イタドリ、イオウゴケ)
箱根火山の成り立ち
箱根火山は、直径約11kmのカルデラとなっているのが特徴です。カルデラとは、ポルトガル語で大きな鍋のことを指しますが、ちょうど鍋のそこに仙石原や芦ノ湖があります。
箱根火山のカルデラは、20万年前前後と8~6万年前ごろの2度の時期に起きた度重なる大噴火で、徐々に今の形になりました。鍋の真ん中にあるのが神山や駒ケ岳など中央火口丘と呼ばれる山々で、大涌谷は神山の中腹にあります。
65~23万年前 | かつてはいくつもの火山からなる火山群を作っていました。 |
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23~13万年前 | 大きな噴火が相次ぎ、小型のカルデラがいくつも形成されました。 |
13~8万年前 | 小さなカルデラが寄り集まって、今見える大きなカルデラとなりました。その中に屏風山などの溶岩ドームができました。 |
8~6万年前 | また、大きな噴火が相次ぎ小型カルデラがいくつかできました。 |
6万年前~現代 | 新しく出来たカルデラの中に神山や二子山が形成されました。 |
現代も息づく箱根火山
箱根を訪れる人にとってなんといっても箱根の火山は魅力のあるところです。約40万年前の箱根火山の最後に噴出した大涌谷は、今もなお100℃前後の硫気と水蒸気を噴出しています。この白煙の大部分は、水蒸気です。鼻をつく臭いは、硫化水素によるもので、緑につつまれた箱根の中でもこのあたり一帯は、植物も立枯れ、岩石をも溶かしています。ロープウェイから大涌谷を一望すると白煙のあちらこちらに多量の土砂崩れがあり、地球の動きがどの様に地表に現れるか地熱活動や化学物質の作用など自然科学の実際をつぶさに観察できる数少ない場所です。噴出する白煙を背景に見事な富士の雄姿が眺められる日本を代表する風景です。
大涌谷の噴煙と地震
火山が生きているといえば、噴火することですが、箱根火山の爆発は約3,000年前に起こりました。神山の爆発による山崩れで、早川が塞き止められ芦ノ湖が出来たのです。箱根の地震は火山性のもので震源の深さは1km前後のものが多く人体に感じるものはごくまれです。神奈川県温泉地学研究所により昼夜の観測が続けられています。
大涌谷の観光について
観光時の注意
- 大涌谷周辺では、人体に有害な火山性ガス(硫化水素、二酸化硫黄)が発生しています。匂いが強い時や、目・鼻・喉に刺激を感じるときは危険ですので、屋外での観光は控えてください。
- 特に、ぜん息などの呼吸器疾患、心臓疾患をお持ちの方、体調のすぐれない方は、火山ガスの影響を受けやすく、大涌谷の観光はできません。
- 大涌谷では、火山活動の観測を常時行っています。
- 火山活動に異常があるとき、火山性ガスの噴出が特に強いときは、観光を規制することがあります。
- 現地の放送や監視員の指示に従って、落ち着いて行動してください。
- 大涌谷は標高1,042m。霧に包まれる日が多く、夏といえども曇りや雨の日は肌寒く長袖、雨具が必要です。強風が吹きつける日も多いため、防寒着や上に羽織るものの持参をおすすめします。
- 台風や大雨により、土石流の発生する恐れがある場合に、園路を閉鎖します。(時間雨量…20mm 以上、連続雨量…50mm 以上)
- 大涌谷では火山ガス濃度の上昇や土砂災害などに備え、関係者による「大涌谷園地安全 対策協議会」を設置し、安全対策に取り組んでいます。
火山性ガスによる規制情報
注意喚起 (二酸化硫黄(SO2)0.2ppm以上) (硫化水素(H2S)5ppm以上) |
放送による注意喚起の呼びかけ |
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注意情報 (二酸化硫黄(SO2)5ppm以上) (硫化水素(H2S)10ppm以上) |
屋内退避、自然研究路の引率入場は中止 |
警戒情報 (二酸化硫黄(SO2)10ppm以上) (硫化水素(H2S)50ppm以上) |
大涌谷から避難 |
大涌谷駐車場情報
営業時間 | 9:00~16:00 ※駐車場出口は16:40に閉門いたしますので、観光の際はご注意ください。 ※悪天候時には、時間内であっても駐車場を閉める場合があります。 |
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料金 | <普通車料金> ■平日:2時間まで500円 2時間越え30分毎200円加算 最大1,300円 ■休日:2時間まで1,000円(最初の30分まで500円) 2時間越え30分毎400円加算 最大2,600円 <大型車> 2,000円/回 ※休・平日同額 <二輪車> 200円/回 ※休・平日同額 |
詳細 | https://www.kanagawa-park.or.jp/owakudani/ |
大涌谷自然研究路の引率入場について
かながわの景勝50選の碑・たまご蒸場まで全長約700mの自然研究路。
この噴煙地をめぐる散策路は、平成27年の火山活動以来、一般観光客の立ち入りは制限されてきました。
このたび、噴石から身を守るシェルターが整備され、火山ガスの24時間監視も行われていることから監視員2名が誘導する「引率入場」という方式で、散策できるようになりました。
事前予約制、毎日4回、各回定員30名で実施します。
小学生以上で、非常時には走って逃げられること、安全対策の協力金800円/人をお支払いいただくことが条件です。
お問い合わせ
大涌谷インフォメーションセンター
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251
TEL:0460-84-5201
開館時間:9:00~16:00
詳細
アクセス | 小田原駅・箱根湯本駅から伊豆箱根バス大涌谷経由湖尻箱根園行き「大涌谷」下車 箱根湯本駅から箱根登山鉄道(終点強羅駅乗換)、箱根登山ケーブルカー(終点早雲山乗換)、箱根ロープウェイで「大涌谷駅」下車 |
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