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箱根観光の楽しみを“移動”で支える仕事とは

タクシー会社の枠を超える!
箱根観光の楽しみを“移動”で支える仕事とは

箱根モビリティサービス株式会社 取締役・太田直人さん (取材当時の情報です)


箱根観光を交通の面から支える存在として、地域の人々にも観光客にも長く親しまれている箱根モビリティサービス株式会社。


タクシー事業を中心に、観光タクシーや予約配車、電気自動車を使った新しい取り組みなど、時代に合わせてサービスを広げながら地域の交通インフラを担ってきました。そしてここでは、箱根ならではのやりがいを感じながら、多くの方が働いているそうです。


今回は、その仕事の魅力や描いている未来について、
箱根モビリティサービス株式会社 取締役・太田直人さんにお話を聞きました。

箱根ならでは!旅の移動を担い、土地の魅力を伝える役割

――まずは、箱根モビリティサービスについて教えてください。


 


1967年に創業し、小田原・箱根・足柄エリアを中心に“一般乗用旅客自動車運送業”、つまりタクシー業を営んできました。創業時は箱根登山鉄道株式会社の出資によりスタートしましたが、のちに小田急箱根ホールディングス株式会社グループへと移り、現在は日の丸リムジングループの一員として地域の交通を担っています。


 


 


――何人くらいの方が、どんなお仕事をしているのですか?


 


現在は117名が在籍しており、そのうち106名がドライバーです。ほかにも、配車や予約の受付を担当するスタッフ、駅でお客様をご案内するスタッフなどがいて、それぞれが連携しながら業務にあたっています。


 


 


――ドライバーさんがたくさんいらっしゃるのですね。


 


はい、当社では67台のタクシー車両保有があり、毎日、約55~60台がこの地域を運行しています。一般的ないわゆる“流し”でお客様を乗せるスタイルはほとんどなく、主に3つの方法でご利用いただいています。


 


まずは駅での乗り場待機です。小田原駅東口・西口、箱根湯本駅、強羅駅、新松田駅の4か所に乗り場があり、そこに待機して来られたお客様をお乗せします。


 


次に、旅行会社・ホテル・旅館からの予約も多く、駅から宿泊先まで、あるいは宿泊先から駅までといった送迎依頼にも日々対応しています。


 


さらに、タクシーを呼べる配車アプリからのご依頼。ホテルや観光地、美術館などの観光施設からアプリ経由で呼んでいただくケースが増えており、便利に配車アプリをご利用いただいています。


 


 


――箱根ならではの動きですね。タクシーで観光する方もいるのでしょうか。


 


当社では貸し切りでご利用いただける観光タクシーも運行しています。多いのは、小田原駅でお迎えし、観光地を巡ったあと、そのまま箱根の宿泊施設までお送りする流れです。


 


最近は外国人観光客の増加に伴い、魅力的な箱根エリアを一日、約8時間かけて、ゆっくりと観光をするケースが大変増えております。移動の提供だけでなく、その土地の魅力を伝え、旅の思い出作りをすることも、私たちの大切な役割だと感じています。


 


 


――海外からの方も含め、多くの方が利用されているのですね。


 


そうですね。2023年5月にコロナが5類へ移行したことをきっかけに、箱根など観光地全体の需要が大きく回復し、外国人を中心に観光客が一気に増えました。


そうした流れもあり、インバウンド専門の旅行会社との取引が大きく広がり、予約の依頼も非常に多くなっています。また、先ほどの配車アプリで直接、外国人の観光客がタクシーを呼ぶことができるようになったことは、大きな変化です。


思いやりがいちばん。お客様の「楽しい」に寄り添って

――箱根でのドライバーのお仕事には、どんなやりがいがあるのでしょうか。


お客様の多くが旅行で訪れているため、明るく楽しそうな雰囲気で乗車される方がほとんどです。時間に追われたり急かされたりすることが少なく、クレームもほぼありません。「安全、安心、親切、丁寧、快適なサービス」で、毎日運行を行っています。

また、観光需要増と、この地域のタクシー認可運賃は、元々から都市部よりやや高めに設定されているため、各個人のドライバーの売上は大きく伸び、以前の売上平均60万円程度から現在は約75万円になるまで上昇しました。繁忙期には売上が100万円を超える運転手もいます。

売上による歩合制のため、やりがいも実感しやすい環境です。観光地ならではの外国のお客様からチップをいただく機会もあり、感謝の言葉を直に受け取れるのも励みになっています。


 


 


――それは嬉しいですね。語学力も必要ですか?


 


英語ができる方はそのスキルを十分に活かせますし、翻訳アプリが普及しているため、外国語が話せなくても問題なく対応できています。


 


 


――予約受付の業務についても教えてください。


 


一大観光地である箱根には、毎日多くの予約やお問い合わせが入ってきます。それを「いかにお断りせず受け付けるか」ということを私たちは大事にしています。



たとえば、ご希望の車種がその日はすでに埋まっている場合でも、同じクラスの車をご提案したり、複数台での対応を考えたりと、工夫できる余地はいろいろあります。代替案でお客様のご希望をかなえられた時に「助かりました」「ありがとうございます」と言っていただける瞬間には、この仕事ならではの達成感があります。


 


 


――予約受付業務に、専門的な知識や経験は必要ですか?


 


旅行関係の経験があればもちろん役に立ちますが、未経験でも問題ありません。メール対応や簡単なPC操作ができれば十分です。



大切なのは、お客様、旅行会社、ドライバーといった関わる人たちの立場を想像し、丁寧に向き合おうとする思いやりです。営業所には5年以上勤めるベテランスタッフが多く、入社後は周りがしっかりフォローします。


 


 


――それなら安心ですね。皆さんは普段、どんなことを心がけているのでしょうか。 


 


 「相手に誠実であること」と「できるだけ早く返事をすること」です。


 


早くといっても、焦って返す必要はありません。返事を待っている人がいることを意識し、後回しにしない気持ちがあれば大丈夫です。こうした姿勢の積み重ねが、お客様や旅行会社との信頼関係につながっています。


箱根から全国へ。新たな取り組みでワクワクする未来へ


――
箱根モビリティサービスの、今後の展望を教えてください。


社名の“モビリティサービス”という言葉に込めた「地域の移動課題を広く支えていきたい」という想いをかたちにすべく、従来のタクシー会社の枠にとどまらないさまざまな取り組みを行っていきます。

たとえば、2025年からは電気自動車を使ったレンタカー事業を始めました。今後も、電動自転車や小型電動モビリティといった新しい移動手段も活用し、交通の利便性をさらに高めていくことをいろいろ模索しています。

その他、観光需要が集中しやすい箱根ならではの課題を解決するため、2024年には、箱根湯本と強羅を結ぶ乗り合いタクシーの実証実験など、新しいサービスの検証にも積極的に取り組みました。今後も、タクシーがつかまりにくい時間帯や場所の課題を補い、地域の声に応える仕組みづくりを自治体や観光協会様へのご協力も仰ぎながら、力を入れていきます。


 


 


――そうした取り組みが、未来につながっていくのですね。


 


親会社の日の丸リムジンは全国でモビリティ事業を展開していて、ここ箱根での実証や成功事例が全国のモデルになることも期待されています。国内一大観光地という強みや、事業者同士が連携しやすい環境を活かし、箱根発の取り組みが全国の標準となる未来も描いています。


 


 


――ワクワクしますね!


 


これから入社される方々とともに、箱根の観光を支える移動インフラをつくり、地域の魅力をさらに高めていきたいと思っています。


 


箱根の観光を支える仕事に関わりたい方、旅が好きな方、第二のキャリアを考えている方、ぜひ一度、箱根モビリティサービスの仕事に触れてみてください。あなたの思いやりや経験が、誰かの「旅の楽しみ」を支える大切な力になります!


 


 

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