箱根十七湯
〜箱根が持つ天与の恵み〜

芦之湯

芦之湯温泉は、駒ヶ岳の麓に開けた閑静な温泉地です。箱根旧街道(現国道1号)沿いで歴史的な面影を色濃く残し、旧跡も数多く点在しています。その一つ「阿字ヶ池」は、寛文2年(1662)に勝間田清左衛門が湿原を開拓して温泉の基礎を築いた跡です。それ以来、江戸時代を通じて長逗留の湯治客や文人墨客で賑わいました。『七湯枝折』では、「ここの湯は五味(多種)で、箱根の温泉の中でも主(最高)」という意味の賛辞が送られています。文人たちは温泉で英気を養うとともに、この地にあった熊野権現の「東光庵薬師堂」に集って句会や作歌を楽しみました。そのうちの一句-
芦の温泉の石に精あり秋の風 蕪村
現在、芦之湯温泉の旅館は2軒ですが、いずれもかつて「五味」と賛えられた複数の泉質を保有しています。「きのくにや」は成分の異なる5本の源泉、「松坂屋本店」には七色に変わる湯量豊かな源泉があります。

~文人墨客に愛された風雅の湯~

【史跡「東光庵」】
文人たちに愛された東光庵は明治4年(1871)に火事で焼失し、熊野神社境内には句碑や歌碑などが残るだけでした。それが史跡「東光庵」として復元されたのは、平成13年(2001)秋のことです。江戸時代そのままの建築方式が採用され、茅葺き屋根には「わび」「さび」の趣が漂います。史跡東光庵の庵主は中曽根康弘元総理大臣で、復元プロジェクトに先立つ「芦刈まつり」(10月中旬)にも学会や地元の有志と共に力を尽くしました。芦之湯を舞台にして、江戸時代から現代まで文化人の心が一つにつながったのです。史跡東光庵は一般にも公開され、俳句の会や茶会などにも利用することができます。

【泉質】単純温泉、単純硫黄温泉(硫化水素型)、含硫黄─カルシウム─硫酸塩泉(硫化水素型)、カルシウム─硫酸塩泉(石膏泉)など
【源泉総数】4
【泉温】26〜84℃  
【湧出量】319ℓ/min

【アクセス】
箱根湯本から元箱根・箱根町行きバスで「東芦の湯」「芦ノ湯温泉入口」ほか下車

Instagram FACEBOOK